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レーザー治療と関節リウマチ

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1.レーザー治療の効果

痛みをやわらげる効果

 我々のデータでは、関節リウマチの患者さんの関節痛をレーザー照射直後にとめる効果は75%以上です。
(例1)15メートル平地歩行に要する時間が治療前に比較し、10.0秒短縮した。壁つたいに足を引きずって歩いていた患者さんが帰りには走って帰るような変化です。
(例2)握力計のKgでこの急性効果 を評価すると、大部分は0.5~5.0kg治療直後に増加しました。15.5kgもいっきに握力の増加した例もあります。

効果の持続

 1回の治療だけで、もう痛まないという患者さんも実際に存在します。多くは、徐々に小さな波をうちながら消えていくようです。治療間隔が問題になりますが、最初は週2~3回とし、徐々に間隔を開いていくのがベストだと考えます。原則として週1回治療してきましたが、治療効果は充分でした。照射を重ねることで蓄積効果が得られます。

レーザー療法の無効な場合

 全身的なあるいは精神的な面までの効果まで含めれば、関節の図絶対的に治療効果を期待できない関節リウマチの患者さんはいないと考えます。しかし、関節の働きの面からみれば、レントゲン検査上、関節を作っている骨どうしが全く、くっついて境界がなくなってしまった関節には効果は期待できません。レーザー療法の前に是非レントゲン検査が必要で、動かないと思っている関節を治療し続けると動きはじめる場合もあります。要は、 病気の勢いにより、レーザーに対する反応に違いがあるのです。非常に炎症の強い関節には、まず冷凍療法を施行してから、レーザー治療をする方がいい場合もあります。ただし、無効例で一番多い原因は治療装置の問題と照射時間が十分でなかった場合です。

2.レーザー治療の副作用

 関節リウマチに応用されるレーザーは、発赤、蛋白変性、血液凝固、蒸散、組織の変化というような障害をおこさないように配慮された低出力低反応レーザーです。照射後一時的にだるさを訴える患者さんがまれにある程度です。なお、眼に直接照射することだけは危険です。

3.レーザー治療と他治療との関係

 現在のリウマチ治療の主体は免疫療法です。関節リウマチの治療方法中でも免疫調節剤あるいは免疫抑制剤がその中心であり、より根本に近い治療法です。しかし、副作用が強く用いられない場合もあります。副腎皮質ステロイド剤となると長期投与の副作用を無視できません。
 レーザー療法は非ステロイド性抗炎症剤のもつ鎮痛作用とは作用機序を異にする強力な鎮痛作用を有しています。このように他の治療とは全く趣を異にする独特の位置にあり、これまでのリウマチ診療の限界を広げる可能性を持っています。免疫異常を改善できれば、関節の変形をかなり防げることもわかっています。それぞれの利点を組み合わせて関節リウマチの炎症をうまくコントロールする必要があります。
 レーザー療法のみでリウマチの炎症をすべて抑制できるわけではないので、リウマチ専門医がレーザー療法をうまく応用するのがベストです。

4.痛みを和らげる以外の効果

 レーザー療法は、血沈値の改善などの臨床検査成績まで改善させる点で関節局部における免疫異常を矯正する効果が期待できます。また、滑膜細胞の増殖による関節の機能障害を改善し、失われかけた運動機能を回復させる作用も確認されています。

5.多関節レーザー療法

 全身の炎症関節のすべてにレーザー療法を実施。全関節の炎症の沈静化による鎮痛効果および全身状態の改善をめざすものです。1回の照射時間が100分間以上に及ぶことも多く、研究所付属施設でのみ予約診療しています。精神的な満足感が得られるのも利点の1つです。
 10~20回治療した後に治療効果を評価したところ、10人中7~8人が指の動作、衣服の着脱、食事の動作、排泄、身体を移動させる動作のうち、それまでできなかったことが治療後には5つ以上できるようになっていました。この効果は骨関節の破壊に至ったSteinbloker分類でステージIII 以上の場合でも60%以上の患者さんに改善が認められた点が注目されました(下図参照)。多関節レーザー治療
 リウマチ外来通院患者さんの意識調査によれば、レーザー治療を受けてどんな効果を感じたかという問いに対し、痛みが軽くなったと感じた間者さんは72.0%でした。その他にもいろいろな効果を感じたと答えています(アンケート調査1)。
 全身的にも生体のくずれた平衡状態を調節する効果があるようです。レーザー治療を行うと7割の患者さんが「元気になった」、「全身のだるさがとれた」、「気分が良くなった」と答えています。気力がでたり、眠れるようになり、情緒も安定してくるようです(アンケート調査2)。これは、自律神経を調節する作用によるものでしょう。血行が改善することによることも、サーモグラフィーなどの検査法により確認されています。