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1.天柱シンドローム
 伝統医学の知恵を現代医学に取り得れようという会、日本代替、相補、伝統医療連合会議が発足されました。その一例として東洋医学でいうツボの概念をペインクリニックに応用し、成功している治療法を紹介します。後頭部、頭部のこり、眼性疲労、まぶしさ、眼痛など、筋肉収縮性頭痛などと呼ばれていることも多い病態ですが、この際多くは後頭部にある天柱とよばれるツボに明瞭な圧痛があるのが普通 です。これを天柱症候群と呼んでいます。治療法はこの部位 に適度な刺激を加えれば、著しく効果があるわけで、現代医学的には、局所麻酔薬の注射か、最近ではレーザー光線をあてる方法が多用されます。同じようなツボがわたしたちの体にはたくさんあります。厳密にその部位 を見い出す知識とセンスがあった先生達が、かつて魔法の手、名医などと呼ばれていたのでは...

2.低反応レベルレーザーと出力
  低反応レベルレーザー療法にも、低出力低反応レベルレーザー療法と高出力低反応レベルレーザー療法があり、臨床効果 に違いがありあます。一般に混同して使用されていることが多いので注意が必要です。鎮痛効果 が高いのは低出力低反応レベルレーザー療法と考えられますが、学会で議論中。

3.抗リウマチ薬レフルノミド(商品名:アラバ)の急性肺障害に関して
 平成16年8月29日、国立国際医療センターにおいて、新しい抗リウマチ薬レフルノミド(商品名:アラバ)の急性肺障害発症の疫学治療、そして、不幸な結果 となった患者さんについての報告と、今後の対策に関する検討会が行なわれました。結論はでていないが、65歳以上の高齢者への使用は注意が必要であること。すでに、間質性肺炎を併発している場合には絶対に使用してはいけないことを確認した。
 レフルノミドは関節リウマチの治療薬としてはかなり有効なものであり、欧米での重大な肺に関する副作用報告は少ないにもかかわらず、なぜ、日本人に急性肺障害が多発したのか大きな疑問が残った。他のアジア諸国での急性肺障害の発症も問題になっていない等、この薬剤に関する詳細な検討は始まったばかりです。有効な薬剤であるだけに、使用の際の安全基準の作製が必要。

4.明暗を分けた新薬インフリキシマブ(商品名:レミケード)とレフルノミド(商品名:アラバ)
 発売1周年をむかえた強力な抗リウマチ薬インフリキシマブとレフルミドについてリウマチ専門医の立場で考察。2種類の薬剤について、使用前後で印象が明らかに異なった。
 第一に我が国初登場の生物製剤インフリキシマブは、予想どおりのすばらしい抗炎症効果 をもたらしただけでなく、幸いにも予想に反して重大な副作用を見なかったことが評価される。当初から、異種蛋白を含む注射薬であるがゆえに、重大なアレルギー症状(アナフィラキシ−ショック)や肺結核等の感染症の発症が強く懸念されたことから使用するにあたって厳格な基準が設けられたこと、そして、非常に高価であるがゆえに、患者さん側も慎重に対応されたのであろうことが逆に幸いしたように思われる。長期の継続使用や普及に向けた対応等問題点も多いが初期段階はクリアしたように思う。
 一方、 レフルノミドであるが、臨床効果については当初予測した程度で、今や抗リウマチ薬のスタンダードとなったメソトレキセート(リウマトレックス、メトレート)にはやや劣るものの、有効性は確認されたと思われる。
 しかし、重篤な急性肺障害の頻発という予測を越えた副作用の発症が明らかになり、現在、ほどんどの施設で使用がひかえられている現状にある。この原因の第一は、すでに数万例のリウマチ患者さんに投与していた欧米において副作用報告の中に重大な急性肺障害の発症がほとんどなかったことである。本邦で使用される前の段階では安全な薬剤であるという印象をいわゆるリウマチ専門医が持ってしまった点にある。日本人にのみ多発する副作用があることを考慮していなかったわけである。体格的におとる日本人に対して欧米と同量 の使用量を投与したことが問題とする意見もあるが、理由はわからない。とにかく予想に反して重大な副作用が発症してしまったのである。今、この薬剤については詳細な検討が進んでいるので、その結果 を待ちたい。効果という点ではとてもおしい薬であるが、現状のままでは我が国では普及しにくいのではないだろうか。他に選択する薬剤がない場合に限って、熟練した専門医が慎重に使用すべきものと考える。(2004.10初旬.私見