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関節リウマチのQ&A

質問 (Questions) 一覧

関節リウマチの質問と答え

  • なぜリウマチは女性に多いのですか?

    確かにリウマチの患者さんの70~80%は女性です。しかし、その理由ははっきりしません。炎症に女性ホルモンが関与することは明らかですし、生理や更年期障害とも関連は認められます。

  • 長い間リウマチで苦しんでいますが、最近、皮膚が薄くなって光沢があることに気がつきました。

    リウマチの急性期で浮腫が強い場合には皮膚が光って見えますが、リウマチの経過が長いようですので、副腎ステロイド剤を長期に使用していないでしょうか。その場合には皮下出血を伴っていることも多いのですが。

  • リウマチで10年以上苦しんでいます。最近首の痛みとひどい肩凝りに悩んでいます

    リウマチで頚椎がおかされる割合は非常に多く、全リウマチ患者さんの20~30%になんらかの頚椎病変がみられます。最も注意しなければならないのは、第一頚椎と第ニ頚椎の関節の亜脱臼です。致命的な合併症をきたすことがありますので、頚部痛があった場合は専門医に相談して適切な指示を受けることが大事です。

  • 非常に疲れやすく,1日中眠いのですが‥‥‥

    リウマチの全身症状としてよくみられます。関節リウマチは全身の炎症性疾患であり、消耗性疾患とも呼ばれています。急性期には、体重減少や食欲不振、全身倦怠感などがよく観察され、病勢のよい指標となります。

  • 時々熱が出ます。リウマチ熱というのでしょうか?

    38℃以上の発熱は一般のいわゆる関節リウマチではまずみられません。37℃代の微熱はリウマチの急性期や再燃の際にはよくみられる症状です。 なお、リウマチ熱という言葉は膠原病に属する一つの病名で、関節リウマチに伴う発熱の際に使うのは誤りです。

  • これから結婚しようと思いますが、妊娠したらリウマチが悪くなると聞きました。心配です。

    慢性関節リウマチ患者さんの妊娠、出産については、次のような注意点を守っていただければ、基本的な問題はないと思います。
    第1点は、服用中の薬剤との関係です。ほとんどすべての抗リウマチ剤、非ステロイド消炎鎮痛剤について、胎児に対する安全性は確立されておりません。従って妊娠に気づいた段階、できれば妊娠を計画した段階で服用を中止するのが原則です。金チオリンゴ酸ナトリウム(商品名 シオゾール)注射は胎児への影響は少ないと考えられていますが、胎児の異常の報告が全くないわけではありません。D-ペニシラミン(商品名 メタルカプターゼ)、ブシラミン(商品名 リマチル)、サラゾスルファピリジン(商品名 アザルフィジン)等も同様です。ただし、メソトレキセート (商品名 リウマトレックス)等の免疫抑制剤服用中の場合は、胎児への影響がとても高いので、主治医と相談して下さい。 また、いわゆる鎮痛剤も妊娠前期は奇形発症の危険があり、妊娠後期には陣痛微弱になったり、動脈管が早期に閉鎖してしまうなど、胎児に対するリスクが大きいため妊娠中は使用しない方がいいと言われています。妊娠中は一般に関節痛が軽減することが多いのですが、炎症が強い場合には少量の副腎皮質ステロイド剤の服用をおすすめします。プレドニゾロンで10mg/日以下、できれば5mg/日ならば母児ともに特に安全だと考えられています。プレドニゾロンは特に胎盤の11-ヒドロゲナーゼという酵素で分解されるため、胎児に薬剤が移行することはほとんどなく、安全性が高いと思われます。
    (授乳中の薬物治療について) ほとんどの薬剤は母乳中へ移行します。新生児への影響を考えれば、母乳はできる限り早めに中止し、ミルクに変えた方が安全です。妊娠中活動がおさまっていたリウマチも、出産1ヵ月以降再び活動が始まることが多いので、私は出産後1ヵ月で母乳を中止し、抗リウマチ剤の服用を再開するようにすすめています。

  • リウマチに一度かかったら治らないというのは本当でしょうか?
    よく新聞、雑誌などでリウマチが治ったという記事が目に入ってきます。
    飛びつきたい気持ちですが、だまされるのもいやです。

    リウマチの自然経過をいくつかの型に分類することができます。御質問の「~を飲んだら治った」、「温泉で治った」、「~の装置を使用して治った」等の患者さんの体験記を載せた広告記事が多いのは、我々専門医からみれば当然のことと思えるのです。リウマチとして発症してもその30%程度、すなわち、10人に3人程度は、発症後急激に寝たきりになる程の関節痛があっても短いもので6ヵ月、長くても1~2年でほとんど後遺症なく治癒するからです。我々はこのTypeを単周期型と呼んでいます。このTypeは治療を受けなくとも自然に治癒するのです。

  • 関節がかなり変形しています。薬を飲んでも痛みはとまりません。どうすれば?

    リウマチの痛みは炎症痛および変形痛と呼ばれる2つの種類があります。炎症に伴う痛みには各種消炎鎮痛剤や副腎皮質ステロイド剤あるいは滑膜切除術という手術法が一般に有効です。しかし、関節の変形、破壊に伴う痛みには薬物療法、特に消炎鎮痛剤は無効なことも多いのですが、自己判断は禁物です。免疫療法等で強力に炎症を抑制することにより、痛みがかなり軽減されるので、あきらめてはいけません。補装具を使ったり、手術療法が適応になることもあります。レーザー療法のように両者のType に有効な治療法もあり、注目されています。

  • リウマチは温泉で治りますか?

    これも基礎治療と呼ばれるものです。温泉は治療という考え方ではなく、精神的な静養と言う意味で大切なものだと考えています。暖めるか冷やすかという問題も原則的には本人が気持ちのよい方をとればよいと思いますが、主治医の指導を受けて下さい。

  • リウマチは運動をしなければならないと聞くのですが…

    日常の診療の中で他にも「できるだけ動かした方が良いのでしょうか?」「痛さも我慢して歩いているのですが、運動したほうがいいのですよね」等よく質問を受けるのですが。これらの質問の内容はリウマチの基礎療法と呼ばれるものです。運動も動けばいいという問題ではなく目的にあった方法でなければ逆効果になることもあります。関節炎自体は運動によって悪化することが多いのです。関節に対する負担が軽く、筋力強化にもなる水の中での運動が適していますが、主治医に適切な指示を受けてください。

  • リウマチは身体を動かさなければいけないと言われますが、痛みが強くて動けません。

    病気の勢いが強く、関節の炎症が盛んな場合には、安静が必要です。積極的な運動は関節の変形・破壊につながる恐れがあります。この時期には昼寝なども必要な基礎療法の1つになります。ただし、1日1~2回はゆっくり四肢の関節を最大限に伸展、屈曲させたり、楽な位置で筋肉に力を入れる(いわゆる等尺運動)ことは効果的です。 病気(炎症)の活動性が低下する程度に応じて運動負荷の程度を上げていくことになりますが、専門医の指導を受けることを勧めます。

  • 膝が痛んで熱をもっています。手術をすすめられたのですが…

    滑膜切除術をすすめられたものと思います。この方法はリウマチの炎症の主たる組織である滑膜の一部を取り除くことで局所の炎症を沈静化させることを目的としたものです。 しかし、免疫療法を主とする内科的治療が進歩し、この手術が実施される頻度は最近激減しています。内科系のリウマチ専門医にも意見を伺ってみて下さい。

  • 膝の変形が強く、手術をすすめられていますが、他に方法はないものでしょうか?

    人工膝関節置換術をすすめられているのではないかと思います。高度の関節破壊のため痛みと機能障害をきたした膝に対する最後の治療手段です。人工関節の材料やデザインに年々改良が加えられており、平均耐用年数も伸びています。 しかし、現実には内科的療法が十分になされれば、まだ手術を必要としない場合が非常に多いことも事実です。またこの段階はレーザー療法を試みるチャンスがあれば、一度勧めます。かなり有用ですよ。

  • 20才の娘が最近膝を痛がります。リウマチは遺伝するのでしょうか?

    リウマチの発症に遺伝子がからんでいることを示す証拠が多いことは事実です。HLA(主要組織適合抗原)と呼ばれる特定の染色体に密集した遺伝子群に支配されている抗原系があり、このHLAとリウマチは強い相関を示すことがわかってきました。 例えば、リウマチ性疾患である強直性脊椎炎の患者さんの90%はHLA-B 27という抗原系を持っているのに対し、健常人でこの抗原系を検出できる率は7%程度です。 リウマチではHLA-DR1, DR4, DR9との相関が高いことがかわってきました。特にHLA-DR4はリウマチ患者さんの58.8%が陽性であるのに対し、健常人の陽性率は24.9%だというデータもあります。一卵生双生児の片方が発症した場合、もう片方の発症する確率が異常に高い点も遺伝との深い関連を示しています。

  • 最近目がゴロゴロし、長く開けていられません。

    関節リウマチに合併する眼病変で乾燥性角結膜炎が疑われます。口腔内の乾燥症状、例えば喉が乾く、喉が痛い、食物を飲み込む際、水が必要などの症状も伴っておりませんか。 関節リウマチに唾液腺分泌および涙液分泌機能障害を合併してくる場合、シェーグレン症候群と呼んでいます。

  • リウマチは心臓がおかされやすいというのは本当ですか?

    病理的にはなんらかの心臓病が認められることがありますが、臨床的に症状を呈することは少ないと考えられています。むしろ、心筋梗塞の発症頻度は一般の人たちよりも低いと言われている程で、仮に心疾患が疑われた場合には動脈硬化症等の他の原因を考えた方がいいと思われす。

  • 10年前からリウマチで苦しんでいます。最近足先がしびれます。脳卒中の前ぶれでしょうか?

    リウマチでは末梢神経障害を伴う場合が比較的多いものです。10年以上経過した患者さんに頻度が高く、通常は左右対称性に認められますが、非常に局所的でしびれがせまい範囲に限られれることもあります。軽い痛覚鈍麻と振動覚の消失を伴うことが多いのです。また比較的高齢者に多く、完全に回復する場合も多いです。なお、片側性の場合には脳血管障害によることもありますので注意が必要です。

  • 指先が真っ白になることがあります。どうしてでしようか?

    レイノー現象ではないかと思います。膠原病の仲間である強皮症でよくみられますが、リウマチでも約10%以下ですが観察されます。寒冷刺激または精神的ストレスによって出現する四肢末端、特に手指の一過性の末梢循環障害による現象です。皮膚の色は、蒼白、チアノーゼ、紅潮(充血)と3段階に変化し、しばしば疼痛やしびれ感を伴います。他の症状に先だってみられることが多く、注意が必要です。

  • 最近風邪をひいている様子はないのですが、咳が続き、少し息苦しく感じます。

    リウマチではまれに肺の異常を合併することがあり、注意が必要です。特に間質性肺炎あるいは肺線維症の合併が注目されています。リウマチそのものの合併としてもみられますが、金劑や免疫抑制剤など薬物療法の副作用による場合もあります。特に乾燥性の咳が続く場合は注意が必要です。中年以降の男性患者さんに出現傾向が高いというデータもありますが、絶対数は女性が多いので性差はないと思います。

  • 肘の上部にしこりがあります。悪性のものでしょうか?

    おそらくリンパ節の腫脹ではないかと思われます。リウマチではかなりの頻度(30~80%)でリンパ節の腫脹がみられます。特に上腕内側の肘リンパ節を触れることが多く、圧痛を伴う場合も伴わない場合もあります。腋窩部のリンパ節もかなりの頻度で触れますが、一般に関節炎(滑膜炎)を呈する関節の中枢側のリンパ節が腫れます。急性期や再燃期によく観察されます。

  • 会社の健康診断で貧血を指摘されました。現在リウマチで通院中ですが…

    貧血はリウマチの関節外症状の中でも最も頻度の高い症状です。原因はまだよくわかっていませんが、臨床症状は一般的に出現しません。特に貧血の治療をしなくても活動性が低下すれば軽快します。ただし、高度の貧血は消化管出血によることがありますので注意が必要です。

  • 肘の近くにこぶができています。骨が飛び出したのでしょうか?

    リウマトイド結節(リウマチ結節)だと思われます。リウマチの特徴的な症状の一つで、約25%の患者さんにみられます。肘頭部か前腕尺側部によくみられますが、指のPIP関節、後頭部、仙骨部、脛骨前面 などの外力を受けやすい部位にも発生します。リウマトイド結節は移動性の場合もありますが、多くは骨膜と癒着しているため、移動性はなく、痛みもない硬いほぼ丸いしこりとして触れます。骨が飛び出したようにもみえますが、実際には病理的に肉芽腫と呼ばれるものです。

  • 手のひらがいつも紅く、肝臓が悪いからだと言われたのですが?

    手掌紅斑と呼ばれる症状で、リウマチでは特に母指球と小指球に紅斑を観察することはしばしばです。その他、手掌が冷たかったり、汗ばんでいる患者さんもよく見受けられます。肝疾患でも観察されることがありますので、主治医にご相談ください。

  • リウマチ患者は癌にならないというのは本当ですか?

    リウマチ患者さんの死亡率は、一般の人と比較して高いという報告が多いようです。特に内臓障害を伴う悪性関節リウマチの場合には注意が必要ですが、このTypeは全リウマチ患者さんの1%以下です。 なお、死亡原因は1位が心血管系、2位が悪性腫瘍です。つづいて感染症、腎疾患、呼吸器疾患の順です。決して癌にならないわけではありません。定期的な全身的チェックは必要です。

  • 身体を冷やすような食品を食べてはいけないと言われましたが…
    肉を食べてはいけないというのは本当ですか?
    絶食療法でリウマチが治ったという記事を雑誌でみました。本当ですか?

    リウマチは慢性消耗性疾患です。炎症が強い時はどんどんやせていきます。この時点では高蛋白、高カロリーの食物が必要です。しかし、病状が比較的安定している場合には食事内容について特に神経質になる必要はありません。リウマチに特に良い食品はありませんし、悪い食品もありません。ただし、刺激の強い食品は痛みを不必要に強く感じさせることがあります。栄養のバランスに気をつけることが大切です。

  • 甘い食べ物はリウマチに悪いというのは本当ですか?

    リウマチに悪い食べ物は原則的にないと思います。ただし、食品アレルギーによる関節痛は現実に存在します。これはリウマチとは別の病態によるものです。食物摂取と関節の痛みが関連していると思われる患者さんはそれを証明する方法がありますので、専門医に相談して下さい。

  • リウマチでは食事をどのように気をつけたらよいでしょうか?

    リウマチの炎症が強い時期は蛋白質を充分にとるよう心がけて下さい。一般的に栄養のバランスに気をつけた食事であれば、リウマチだからと神経質になる必要はありません。ただし、極端に刺激の強い食品は痛みを感じやすくすることがありますので気をつけてください。