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五十肩でお悩みの方へ

 五十肩は我わが国特有の表現で、肩関節周囲炎と一般に診断されています。肩関節痛と肩関節の運動制限が主な症状ですが、肩から上腕外側、前腕外側から手の親指側にかけて痛み、しびれ、脱力感、冷感などを訴える患者さんが多いことに気付きます。その約80%は筋原痛という考え方で治療すると有効です。一般的には知られていませんが、肩甲骨の部分に発痛点と呼ばれるポイントが存在します。そのポイントにレーザー光線を照射するのです。何もしないで半年〜1年も苦しむ事はありません。これが五十肩に対する棘下筋発痛点のレーザー治療と呼ばれる手法です。しかし、頚椎の変形が強い場合には難治性で、繰り返し治療をする必要のある複雑性筋原痛であることもあります。この筋原痛という考え方で治療すると有効な疾患はたくさんあります。腰痛、下肢痛など、次の機会に紹介します。

筋硬症、例えば五十肩

 ある筋肉に圧迫を加えていくと、コリッとした索状の硬結を触れる病態があります。
 例えば、いわゆる五十肩の場合、肩甲骨部にそのコリッと触れる筋肉があり、その筋硬結部を押すと、肩から上肢、手にかけて痛みのひびき(関連痛)があります。これが筋硬結症、別名筋原痛と呼ばれるものです。一般に坐骨神経痛と診断されている患者さんにも、臀部に筋硬結がある場合が多く、この部位を押すと下肢に痛みやしびれ感が広がっていきます。
 これら筋硬症あるいは筋原痛に対する治療法に、点と面のレーザ−治療があります。身体の深い部分に存在する筋硬結と、表在性の関連痛の二面性を持った筋硬症に対応する治療法です。先の五十肩、下肢、臀部痛の他にも、腰を押すと臀部やいわゆる尾てい骨に関連痛が起こる人、背中を押すと首に関連痛が起こる人などが対象になります。

筋原痛に対するレーザ−治療の有効性評価

 筋原性関連痛についてはこれまで何度か紹介しました。その特徴は身体深部に感ずる痛みで、部位を特定しにくく、痛みの性質もあいまいなこと。このあたりで、重苦しく、だるいような、しびれるような痛み。いわゆる五十肩 や、腰から臀部、下肢にわたる痛みがこの種の代表的な疼痛。この痛みをレーザ−光線で取り除くことが可能かどうか。かなりやっかないな痛みであることは御承知のとおり。レーザ−治療の結果は次のごとく。五十肩に代表されるいわゆる棘下筋筋原痛に対する有効率は5回治療で75%。残る25%は複雑性筋原痛であり、治療回数とレーザ−照射の工夫が必要だった例。さらに加齢によるものとあきらめている方の変形性腰痛の場合、腰部から臀部までの痛みにはほぼ100%の有効率。腰から下肢、足元までの広い筋原痛でも60%の有効率。この有効率にかけてみるか。

足裏の痛みのレーザ−治療

 朝の第一歩目に強く足裏に痛みを感じることはありませんか。最初のうちは、痛みをこらえて歩き始めれば痛みがなくなります。これは軽症の足底筋膜炎の症状です。スポーツ選手やスポーツ好きの人は経験があるのではないでしょうか。慢性化するとなかり苦痛です。日常生活上、常に足裏が痛むようになります。我々のところを受診する患者さんは、ほとんどこの重症例です。最近はスポーツを全くしない中高年の男女の受診が多いのですが、中年以降の急激な体重増加による足底筋膜の悲鳴だと思います。足裏の踵から土踏まずにかけて手で押してみると痛みを感じる部分があるはずです。太っている人は減量 、運動し過ぎの方は、一時休むことなどで足裏への負荷を少なくすることが大切。足裏のストレッチやマッサージも有効なのですが、それでダメならやはり低出力レーザ−治療でしょう。

腰痛・下肢痛のレーザ−治療

 腰痛や下肢痛で悩んでおられる皆様、腰椎のずれや辷り症を指摘されたことはありませんか? 痛みと一生付き合わなければいけないと思い込んでいることはありませんか?実際、腰椎のX線写真を見せられると、納得せざるを得ないほどのみごとな変性辷り症。医者も一緒に納得してしまいます。
 この事実を紹介します。変性辷り症の患者さんは、痛みを和らげるために前屈みになります。しかし、それは辷りの度合いを大きくする動作にほかなりません。腰椎のずれが大きくても、レーザ−治療で臀部から下肢へのしびれや痛みが改善した例は多数あります。X線写真上は辷り症が治ったわけではないのに。
  老化による変形性腰痛症に伴う側弯症も同じです。レントゲン上では見事に曲がっていても、あきらめずにチャレンジしてみてください。

顎関節症のレーザ−治療

 食物を咬んだり口を開いた時に、顎関節部に痛みを感じて食事が進まないという方への朗報です。
 第14回日本レーザ−治療学会でもいわゆる顎関節症が話題になりました。この病気の原因は歯の咬み合せの異常を始め様々ですが、口の開閉障害、痛み、雑音を特徴とします。痛みは顎関節部に限定されていない場合も多く、片頭痛、三叉神経痛などと診断されていることもあります。
 また、口を開けると耳が痛いと訴えるケースもあり、痛みがなく、35〜45ミリ口を開くことができなければ異常です。
 治療は歯科口腔外科的には歯の咬み合せの調整。虫歯治療に用いた金属の静電気による、顎の筋肉の過緊張が原因とする説もあります。
 原因はともかく、筋緊張が原因の顎関節症には低反応レベルレーザ−治療が著効したと言う報告です。

低反応レベルレーザー治療

 レーザーの医療応用の中で人体に損傷を与えることなく生体反応を刺激、活性化させることを目的とする治療法を、低反応レベルレーザー治療と呼んでいます。鎮痛効果がその代表的なものですが、脳出血後遺症や各種神経麻痺、アトピー性皮膚炎への応用など、適応が拡大してきました。この治療法は従来、低出力レーザー治療とよばれていたものです。出力100mW以下が基本で、例え10mW以下でも刺激量として十分なエネルギー量を与えれば、すなわち、照射時間さえ十分でありさえすれば、同様の効果が得られることが分かっています。低出力レーザー光の範囲では出力が高いほど、短時間照射で済むわけです。しかし「高出力」低反応レベルレーザー 治療にはこの法則は成立しません。この新治療法も含め知ってほしい点は、鎮痛作用一つとってみても装置の使用法で有効率が3倍も違う事です。

痛みに対するレーザー治療成績

 平成14年、MLF601という低反応レベルレーザー装置で、各種疼痛疾患の治験を実施、その結果を紹介します。
 この治療で痛みが軽減したのが、患者さん206人のうち172人(83.5%)。治療回数2〜15回で効果 がでている。その中で有効率が90%以上と特に高いものは、筋筋膜性腰痛症(いわゆる腰痛症)と肩関節周囲炎(五十肩)。ほとんど治療をあきらめているといわれる五十肩の治療成績も飛躍的に向上した。
 続いて有効率約85%が、変形性腰痛症と膝関節症の痛み。慢性関節リウマチ、変形性頚椎症(加齢に伴う頚部の痛み)は約75%。また、それぞれ10例以下と少ないのだか、頭痛を伴う肩こりが89.9%。足裏の痛みとテニス肘が100%。逆に有効率が50%以下なのは、腰椎ヘルニアと脊柱管狭窄症だった。
 全体では、数年前より治療成績が10%は上昇した。

レーザーによる疼痛治療の現状と将来

 平成15年11月に第24回日本レーザー医学会開催。私に与えられたテーマは、低出力レーザーの現状と今後の展望。関西医大の片岡先生はレーザー光の鎮痛効果を、神経細胞レベルでみごとに証明。日大医の小川、佐伯両先生は痛みの専門外来でも必需品と報告。欧米でもリウマチ治療に対する評価が最も確率されているという兵庫医大の揚先生。各領域で専門的知識を持った上で、レーザー光を操ることが絶対必要という認識で一致。CRPSという外傷や手術後の頑固な痛みにチャレンジしている前松山日赤病院の竹吉先生の報告も、さすがプロという印象。
 私の報告は不眠、イライラなどの精神症状や自律神経失調症を伴うリウマチの特殊な病態に対するレーザー治療。多くの先生たちから同じような患者さんの治療に苦労している現状報告あり。私の治療法が普及することを期待。

原因不明の疼痛のレーザー治療

 原因不明の疼痛で苦しむ患者さんは多く、そのほとんどの方が鬱病と診断されています。
 今回は、大阪回生病院の庄司先生による学会報告例を紹介します。@3年前から背部の圧迫感と足の裏のチクチク感を訴え、夜中に突然息苦しさを覚えて目が覚めてしまうという60歳の男性の例。A足の裏の前半分にチクチクした痛みと、ガムが張り付いたような感覚が治らないと訴えた71歳の女性の例。@の例は12回、Aの例は週3〜4日、星状神経節レーザー治療を行って約4か月で改善しています。
 我々の経験でも、中年女性で足底部のチクチク感を訴える例は意外に多いと感じています。痛みだけでなく、更年期以降の女性に多い精神不安や憂鬱、めまい、不定部位 の痛みなど自律神経失調を伴う症状には、この治療法がとても有効です。