レーザー外来の近況
健康志向の高まりで、スポーツを楽しむ方がとても増えています。中年はストレス解消と減量
、高齢者は健康維持のため…と目的は様々ですが、特に、卓球、ゴルフ、水泳、テニス、登山に夢中になっている方が多いようです。しかし、夢中になればなるほど腰痛、膝関節痛などに悩まされます。どんなに痛くてもやめられない方にはレーザー治療が適しています。
オリンピック選手もレーザー治療をしながら競技に参加しているように、治療しながらスポーツも楽しめます。極端な例では、足の指1本骨折してもレーザー治療しながら一日も休まずスポーツクラブに通
ったという方も。
レーザー外来も時世を反映してか元気な中高年スポーツマンが多くなってきました。旅行の前に毎回腰痛治療に来られる方もいます。レーザーの即効性をよくご存知なんですね。
レーザー光の軟骨再生効果
単純に外傷ではがれた軟骨にレーザー光を照射すると、2週間で回復します。これは動物実験でも証明されています。老化によって変性した軟骨を再生させることができれば画期的なのですが、簡単ではありません。しかし、今年の第18回レーザー治療学会でレーザー光によって軟骨細胞が増殖するという実験データが報告されています。実用化にはもう少し研究をすすめる必要がありますが、老化による変形性関節症の痛みに悩む患者さんには朗報でしょう。
一方、関節リウマチで破壊された軟骨に対してのレーザー光の作用はもっと複雑です。炎症性サイトカインと言われる骨軟骨の破壊物質との関係が問題です。この破壊物質を免疫療法によって抑制した状況で維持した場合は、レーザー光によって軟骨の修復率が上昇します。強力な抗サイトカイン療法がリウマチ治療に導入され、さらにレーザー光の軟骨修復作用に注目です。
疼痛に対するレーザー治療の現状
第18回日本レーザー治療学会において、各科における痛みに対するレーザー治療について論議されました。
スポーツ障害の領域では、ドーピングの問題から鎮痛剤の投与を制限されている選手にとって、レーザー治療はかかせないものであるとのことです。帯状疱疹後神経痛への応用も盛んで、今回は、歯科の三叉神経領域の知覚障害への応用に関して報告がありました。脳外科では慢性頭痛、整形外科では肩関節周囲炎やいわゆる五十肩に確かな効果
をあげています。脳性麻痺児の筋緊張性を低下させ、歩行機能を改善させるという報告は、素晴らしいと感じました。
私は関節リウマチへのレーザー治療の応用を報告。革命的に進歩したと言われる薬物療法の有用性とその限界、そしてレーザー治療との併用療法の有用性に関して活発に論議が交されました
交感神経緊張状態の診断と治療
「最近夜間の発汗で眠れない。動悸、めまい、吐き気に突然襲われる」と訴え来院されました。よくお話をうかがうと、慢性的な腰痛によるストレスと鎮痛剤で引き起こされた、典型的な交感神経緊張状態と判明しました。漢方薬の半夏厚朴湯、六味丸で軽快しましたが、根本原因の腰痛分離症の手術を勧めました。
20歳の女性。重症のアトピー性皮膚炎です。吐き気とめまい、顔は掻きむしられ、ただれた状態で来院されました。朝から深夜までレストランで働き、睡眠4時間という毎日。睡眠不足と精神的なストレスによる、交感神経緊張状態です。初診日に星状神経節レーザー照射を施行したところ、その晩ぐっすり眠れたようです。2ヶ月後には、皮膚のかゆみも軽快しました。2007.5