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抗サイトカイン療法 
 リウマチの炎症を引き起こす炎症性サイトカインという物質を阻害する治療法で日本では現在治験中で、一般 に使用することはできません。情報のみ提供しますが、私自身使用したことはまだありません。しかし、とても切れ味のいい強力な抗炎症作用をもつという報告が多い薬剤です。問題点は非常に高価なものになるのではないかという点と、注射薬であるということでしょうか。副作用に関しては、感染症にかかりやすくなる点、悪性リンパ腫が発症しやすいのではないかと懸念される点です。
 この治療法のイメージは「まるでステロイド剤のように治療翌日には痛みがやわらぐ」というものです。リウマチの根本的な治療法とは言えませんが、骨破壊も抑制するだろうと期待されています。
 近い将来 使用可能となる薬剤(治験中)
 1.エタネルセプト(商品名 エンブレル)……可溶性抗ヒトTNF 受容体拮抗阻害剤
 2.インフリキシマブ(商品名 レミケード)……キメラ型抗 TNF受容体拮抗阻害剤
抗リウマチ薬レフルノミド(商品名:アラバ)の急性肺障害に関して
 平成16年8月29日、国立国際医療センターにおいて、新しい抗リウマチ薬レフルノミド(商品名:アラバ)の急性肺障害発症の疫学治療、そして、不幸な結果 となった患者さんについての報告と、今後の対策に関する検討会が行なわれました。結論はでていないが、65歳以上の高齢者への使用は注意が必要であること。すでに、間質性肺炎を併発している場合には絶対に使用してはいけないことを確認した。
 レフルノミドは関節リウマチの治療薬としてはかなり有効なものであり、欧米での重大な肺に関する副作用報告は少ないにもかかわらず、なぜ、日本人に急性肺障害が多発したのか大きな疑問が残った。他のアジア諸国での急性肺障害の発症も問題になっていない等、この薬剤に関する詳細な検討は始まったばかりです。有効な薬剤であるだけに、使用の際の安全基準の作製が必要。
明暗を分けた新薬インフリキシマブ(商品名:レミケード)とレフルノミド(商品名:アラバ)
 発売1周年をむかえた強力な抗リウマチ薬インフリキシマブとレフルミドについてリウマチ専門医の立場で考察。2種類の薬剤について、使用前後で印象が明らかに異なった。
 第一に我が国初登場の生物製剤インフリキシマブは、予想どおりのすばらしい抗炎症効果 をもたらしただけでなく、幸いにも予想に反して重大な副作用を見なかったことが評価される。当初から、異種蛋白を含む注射薬であるがゆえに、重大なアレルギー症状(アナフィラキシ−ショック)や肺結核等の感染症の発症が強く懸念されたことから使用するにあたって厳格な基準が設けられたこと、そして、非常に高価であるがゆえに、患者さん側も慎重に対応されたのであろうことが逆に幸いしたように思われる。長期の継続使用や普及に向けた対応等問題点も多いが初期段階はクリアしたように思う。
 一方、 レフルノミドであるが、臨床効果については当初予測した程度で、今や抗リウマチ薬のスタンダードとなったメソトレキセート(リウマトレックス、メトレート)にはやや劣るものの、有効性は確認されたと思われる。
 しかし、重篤な急性肺障害の頻発という予測を越えた副作用の発症が明らかになり、現在、ほどんどの施設で使用がひかえられている現状にある。この原因の第一は、すでに数万例のリウマチ患者さんに投与していた欧米において副作用報告の中に重大な急性肺障害の発症がほとんどなかったことである。本邦で使用される前の段階では安全な薬剤であるという印象をいわゆるリウマチ専門医が持ってしまった点にある。日本人にのみ多発する副作用があることを考慮していなかったわけである。体格的におとる日本人に対して欧米と同量 の使用量を投与したことが問題とする意見もあるが、理由はわからない。とにかく予想に反して重大な副作用が発症してしまったのである。今、この薬剤については詳細な検討が進んでいるので、その結果 を待ちたい。効果という点ではとてもおしい薬であるが、現状のままでは我が国では普及しにくいのではないだろうか。他に選択する薬剤がない場合に限って、熟練した専門医が慎重に使用すべきものと考える。 (2004.10初旬.私見)