院長 小幡 純一

院長 小幡 純一

関節リウマチ治療の現状と問題点について

生物学的製剤の登場によって、リウマチ治療が格段に進歩しました。革命的進歩と称されるのはなぜか。最も変化したのは、リウマチ専門医の意識だと思います。今、我々は、関節リウマチで日常生活が制限されるようなことがあってはならないと強く思っています。少なくとも、制限されている患者さんがおられれば、治療法を見直すべきだと思います。そのためには、まず早期発見早期治療が重要です。しかし、今思えば強力な治療法への急速転換だったため、当然起こりうることだったのですが、当時の想像を超えた問題点が続々と浮かび上がってきたのです。結核の発症が増加し、従来は人間と共存していた微生物が牙をむいて重症な感染症を引き起こすようになったのです。
今、私達はこれら多くの問題点をも克服し、着実に進化し続けています。重篤な感染症の予防、早期発見、早期治療の術を身につけ、これらの生物製剤を安全に投与できる人、予防薬を併用すれば投与できる人、絶対に投与してはいけない人、どの生物学的製剤を選択すればいいのか、高額医療費の問題をどうするか、最近開発された類似作用と効果が期待される経口製剤の現状などについてもお話したいと思います。
情報社会ですので、世界中の研究者からのタイムリーな情報も入ってきます。生物製剤を恐々使用していた時代は過ぎ去り、自身の多くの治療経験を経て、私なりのリウマチ医療の現状をお話しできるようになりました。ただし、飛躍的に進化したという歴史の裏では、日々進化する膨大な情報を処理しなければならないため、専門医の側にも、得て不得手の格差が広がったという事情が生まれています。しかし、全国どこでも同じようなレベルで治療が受けらるということが、患者さんにとって望ましいことだと考えます。私自身の診療でも、他の専門医の治療法に関し、患者さんやご家族の方からセカンドオピニオンを求められる機会も増えています。治療法も多様化しています。そのため、専門医の先生方からの反対意見もありうる問題点についても触れながら、リウマチ医療の現状についてお話したいと思います。

関節リウマチ治療の現状と問題点について

レーザー治療の強力な鎮痛抗炎症効果は関節リウマチへの応用にとどまらず、あらゆる難治性疼痛性疾患に有効であることが日本レーザー治療学会、日本レーザー医学会、ペインクリニック学会、その他広く全診療科から報告されるに至りました。今では、難治性の痛み、難治性アトピー性皮膚炎、脳出血後遺症による運動麻痺、プロスポーツ障害への応用等、とどまることを知らない程の広がりを見せています。しかし、まだまだ現状は、このレーザー治療によって救えるであろう患者さん達に十分で正しい情報が伝わっていないと感じています。この30年間に渡る当院の豊富な臨床経験に支えられたメッセージが、より多くの悩める患者さんのもとに届くことを心より願っております。

略歴

昭和50年
東京慈恵会医科大学医学部卒業
昭和52年
東京慈恵会医科大学付属病院勤務
昭和53年
国立相模原病院リウマチアレルギーセンター兼務、リウマチアレルギー学専攻
昭和57年
神奈川総合リハビリテーション病院小児科医長、ならびに東洋医学科兼務
昭和57年~58年
日中友好協会・神奈川県衛生部主催交換留学制度に参加。中国鍼灸医学・漢方医学研修過程終了。
昭和60年
衣笠総合病院東洋医学科医長。現在に至る
昭和61年
日本リウマチレーザー研究所ならびに光中央診療所開設。

役職

  • 日本リウマチ学会専門医・日本リウマチ財団登録医
  • 日本東洋医学会専門医
  • 日本レーザー医学会名誉会員(旧理事)
  • 日本レーザー治療学会理事・事務局長
  • 日本レーザー•スポーツ医科学学会理事
  • 日本内科学会会員
  • 日本臨床内科医学会認定医
  • 日本内科学会・日本小児科学会・日本小児アレルギー学会・日本代替相補伝統医療連合会議・日本臨床リウマチ学会等に所属
  • 医学博士

専門分野

  • リウマチ学
  • レーザー医学
  • 免疫アレルギー学
  • 東洋医学

主な研究・業績

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No 学会講演・論文発表演題名 学会発表及び論文
1 顕著な骨粗鬆症をきたした若年性関節リウマチのリハビリテーション 小児科診療 1984
2 全身性エリテマトーデス患者白血球のインターフェロン産生能 リウマチ 1984
3 若年性関節リウマチの免疫グロブリン大量療法 小児科臨床 1985
4 小児膠原病の治療 小児内科 1985
5 慢性関節リウマチに対する低エネルギー半導体レーザーの臨床応用 第29回日本リウマチ学会 1985
6 慢性関節リウマチに対する低出力レーザー療法の適応について 第30回日本リウマチ学会 1986
7 慢性関節リウマチに対するレーザー療法の作用機序に関する基礎的検討 第30回日本リウマチ学会 1986
8 慢性関節リウマチに対する低出力レーザー療法の臨床効果について 第30回日本リウマチ学会 1986
9 慢性関節リウマチにおける低出力レーザーの鎮痛効果 第20回ペインクリニック学会 1986
10 カラゲニン炎症に対する低出力レーザーの鎮痛効果 第20回ペインクリニック学会 1986
11 慢性関節リウマチに対する多関節レーザー療法の効果と有用性 第7回日本レーザー医学会 1986
12 実験的炎症における低出力レーザーの効果 第7回日本レーザー医学会 1986
13 慢性関節リウマチにおける低出力レーザーの鎮痛効果 ペインクリニック 1987
14 カラゲニン炎症に対する低出力レーザーの鎮痛効果 ペインクリニック 1987
15 慢性関節リウマチに対する多関節レーザー療法の効果と有用性 日本レーザー医学会誌 1987
16 Adjuvant関節炎に対する低出力半導体レーザーの抑制効果 第31回日本リウマチ学会 1987
17 慢性関節リウマチの低出力レーザー療法の作用機序 -Chemical mediatorに対するレーザーの光化学作用- 第31回日本リウマチ学会 1987
18 慢性関節リウマチにおける低出力レーザー療法の全身的効果からみた有用性評価 第8回日本レーザー医学会 1987
19 Ga-Al-As Diode Laserの鎮痛・抗炎症効果 第8回日本レーザー医学会 1987
20 各種ケミカルメディエータに対するレーザーの光分解作用 第8回日本レーザー医学会 1987
21 慢性関節リウマチの低出力レーザー療法による骨・関節病変の長期予後 第9回日本レーザー医学会 1988
22 慢性関節リウマチに対する多関節レーザー療法の全身的作用 第32回日本リウマチ学会 1988
23 低出力レーザーのカラゲニン肉芽腫抑制作用 医学と生物学 1988
24 カラゲニンエアポーチ炎症における血管性浸透性亢進に対する低出力レーザー照射の抑制効果 医学と生物学 1988
25 カラゲニン炎症における低出力半導体レーザーの浮腫抑制作用 医学と生物学 1988
26 慢性関節リウマチの低出力レーザー療法の評価 -サーモグラムと急性鎮痛効果の相関について 第10回日本レーザー医学会 1989
27 低出力レーザー療法作用による慢性関節リウマチの骨・関節病変2年予後 第33回日本リウマチ学会 1989
28 腰部変形性脊椎症に対する低出力レーザー療法の効果 第10回日本レーザー医学会 1990
29 慢性関節リウマチに対する低出力レーザー療法のサーモグラフィによる評価 第34回日本リウマチ学会 1990
30 Evaluation of Acute Pain-Rlief Effct of Low Power Laser Therapy on Rheumatoid Arthritis by Thermography THE FIRST CONGRESS INTERNATIONAL LASERTHERAPY ASSOCIATION 1990
31 Clinical Effects of Total Laser Irradiation for the Control of Disease Acutivity of Chronic Rheumatoid Arthritis LOW POWER LASER IN MEDICIN '90 TOKYO 1990
32 リウマチ性弾撥指に対する低出力半導体レーザー療法の効果 第11回日本レーザー医学会 1990
33 滑膜シンチグラフィを用いた慢性関節リウマチにおける低出力半導体レーザー療法の評価 第12回日本レーザー医学会 1991
34 滑膜シンチグラフィによる慢性関節リウマチの低出力半導体レーザー療法の評価 第36回日本リウマチ学会 1992
35 慢性関節リウマチにおける低出力レーザー療法の評価
─二重盲検法からみた問題点ー
第13回日本レーザー医学会 1992
36 Evaluation of the Effects of Low Power Laser Therapy on Rheumatoid Arthritis Joints by Roentgenographic Survey LASER BOLOGNA '92 1992
37 慢性関節リウマチの関節痛に対する低出力半導体レーザー療法の鎮痛効果とレーザーエネルギーの関係 第14回日本レーザー医学会 1993
38 寒冷療法を用いた低出力レーザー療法の効果 を規定する生体側因子の検討 第16回日本レーザー医学会 1995
39 慢性関節リウマチの治療体系における低出力レーザー治療の意義 第8回日本レーザー医学会 1996
40 慢性関節リウマチにおけるLLLTの臨床的評価方法と問題点について 第9回日本レーザー医学会 1997
41 低出力レーザー療法の鎮痛作用に示唆を与えた慢性関節リウマチの直線偏光近赤外線治療 第18回日本レーザー医学会 1997
42 慢性関節リウマチにおける低出力レーザー光の鎮痛作用における面 照射と点照射の比較 第21回日本レーザー医学会 2000
43 中西医学結合レーザー療法 東洋医学レーザー研究会 2000
44 慢性関節リウマチにおける低出力低反応レベルレーザー治療と高出力低反応レベルレーザー治療の鎮痛効果 とレーザーエネルギーの関係 日本レーザー医学会誌 Vol.22 No.2 2001
45 東西医学の接点としてのレーザー治療 第13回日本レーザー治療学会 2001
46 低反応レベルレーザ-治療悪化症例の検討
―胃切除術後のビタミンB12吸収障害による亜急性脊髄連合変性症の1例―
第23回日本レーザー治療学会 2002
47 低反応レベルレーザー治療(LLLT)のガイドライン作製に関する提案 第15回日本レーザー治療学会 2003
48 リウマチ性疾患に対する低出力レーザー治療の現状と将来展望
-関節リウマチから線維筋痛症への応用へ-
第24回日本レーザー治療学会 2003
49 関節リウマチの病態に関与する高分子物質へのレーザーの光化学作用の検討 第17回日本レーザー治療学会 2005
50 光化学作用を応用した関節リウマチに対する新しいレーザー治療の展望 日本レーザー治療学会誌 2005
51 リウマチ外来における低反応レベルレーザー治療の現状について 第18回日本レーザー治療学会 2006
52 関節リウマチの低反応レベルレーザー治療(LLLT)における抗TNF療法の影響 日本レーザー治療学会誌 2006
53 低反応レベルレーザー治療による鎮痛効果無効な関節リウマチ症例の追跡
ー骨•関節破壊特に骨びらんの進行との関連についてー
第19回日本レーザー治療学会 2007
54 関節リウマチ治療のパラダイムシフトの中でのレーザー療法 第28回日本レーザー治療学会 2007
55 東洋医学外来における低反応レベルレーザー治療 第20回日本レーザー治療学会 2008
56 関節リウマチの概日リズムとレーザー応用の可能性 第29回日本レーザー治療学会 2008
57 HOW WOULD THE REACTIVITY FOR LOW REACTIVE LEVEL LASER BEAMS BE ACQUIRED AFTER ANTI-TNF TREATMENT ON RA PATIENTS? 第18回国際レーザー医学会 2009
58 RA炎症と骨破壊をサイトカインからみる 第30回日本レーザー医学会 2009
59 なぜ低出力レーザーなどの光照射療法がスポーツ医学領域で普及しないか:
スポーツ障害に対するレーザー、特に、LLLTがなぜ普及しないのか
第13回日本レーザー•スポーツ医科学学会 2009
60 光の特性を生かした医学生物への応用 ー現状と展望 第21回日本レーザー治療学会 2009
61 リウマチ炎症におけるレーザーの標的分子 第30回レーザー学会 2010
62 関節リウマチの病態とレーザーの標的 第22回日本レーザー治療学会 2010
63 関節リウマチの病態とレーザーの標的 日本レーザー治療学会誌 9(2):9-19, 2010 2010
64 LLLTの多彩な生物反応と臨床 第31回日本レーザー医学会 2010
65 最近経験したRA症例の合併症 第66回神奈川リウマチ医会 2012
66 運動器疼痛と運動連鎖からみる関節リウマチに対するLLLT 第16回日本レーザー・スポーツ医科学学会 2012
67 映像でみる底反応レベルレーザー治療の実際 第17回日本レーザー・スポーツ医科学学会 2012
68 底応レベルレーザー照射による不随意運動の誘発と被照射感覚 第17回日本レーザー・スポーツ医科学学会 2013
69 LLLT効果の判定・評価基準再考の方向性をさまざまな角度から考察 第26回日本レーザー治療学会 2013
70 関節リウマチの関節可動域制限に対するレーザー療法の有用性から見たプロ・アマ一流スポーツ選手へのレーザー療法導入の夢 第18回日本レーザー・スポーツ医科学学会 2014
71 神経障害性疼痛合併RA対策 第69回神奈川リウマチ医会 2014
72 頻発する関節リウマチが合併症の現状と対策 第77回神奈川内科医学会集団会 2014
73 低出力レーザーの適応拡大 第36回日本レーザー医学会 2014
74 LLLTと局所麻酔薬治療の適応病態の相違について 第27回日本レーザー治療学会 2015
75 ハイリスク低体重RA症例と薬剤投与量 ーバイオ難民を作らないためにー 第70回神奈川リウマチ医会 2015

副院長 上原 真琴

副院長 上原 真琴

更年期関節痛外来を始めて約3年が経ちました。当院を受診された更年期女性は500名を超え、そのうち約200名がホルモン補充療法(HRT)を行いました。当院でHRTを行った患者さんのデータを下に示します。

ホルモン補充療法(HRT)データ

縦軸は痛みの度合いで、痛みを感じ始めてから最も痛い状態を100とした時の最近の痛みの強さを表しています。治療前は平均72.3と高かった痛みが、HRT開始6ヶ月で26.5まで改善しています。治療開始1ヶ月で劇的に改善する人もいます。実際にHRTを行った患者さんからは、「痛みがなくなりスポーツができるようになって嬉しい」「ホルモン治療に対して最初は抵抗があったけどやって良かった。周りにも体の痛みで悩んでいる更年期の人がいるので勧めたい」「更年期に関節痛が起きるなんて知らなかった。リウマチが心配だったけど受診して更年期だとわかり安心した」などの声が寄せられています。更年期の痛みを我慢する必要はありません。適切に治療を受けながら生き生きと毎日を送ってもらいたいと願っています。
更年期関節痛外来での経験は、更年期のリウマチ治療を見直すきっかけにもなりました。当然のことながらリウマチ女性だって更年期を経験するわけです。今の痛みがリウマチによるものなのか、更年期によるものなのか、しっかりと鑑別できれば治療の質も向上します。 外来での経験を今日のリウマチ診療の向上に生かせればと、微力ながら学会発表も積極的に行っています。今年もリウマチ膠原病を中心とした痛みで悩む多くの患者さんの力になれるよう、研鑽を積んでいきたいと思います。そして「目の前の患者さんのために」という初心を忘れずに、スタッフ一同力を合わせて頑張っていきます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

略歴

2009年
日本大学医学部卒業
2010年
横浜市立大学附属病院
2011年
横浜市立大学附属市民総合医療センター
2012年
横浜市立大学附属市民総合医療センター リウマチ膠原病センター内科
2015年
茅ヶ崎市立病院 リウマチ膠原病内科 医長
2019年~
光中央診療所

資格

  • 日本リウマチ学会専門医
  • 日本リウマチ学会登録ソノグラファー
  • 日本内科学会認定内科医
  • 身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医

所属学会

  • 日本リウマチ学会
  • 日本内科学会
  • 更年期と加齢のヘルスケア学会
  • 日本女性医学学会
  • 日本レーザー治療学会
  • 日本レーザー医学会
  • 日本選択理論心理学会
  • 日本線維筋痛症学会