生活習慣病とは
生活習慣病は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、痛風・高尿酸血症といった、生活習慣の蓄積によって発症する病気の総称です。
生活習慣病は自覚症状に乏しいため放置されやすく、未治療で経過すると気付かないうちに動脈硬化が進行し重大な血管系の病気(心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎臓病など)を起こしてしまう危険性があります。特に女性の場合、閉経するとそれまで全身を守ってくれていたエストロゲンが減少し、生活習慣病が発症しやすくなりますので、適切なホルモンバランスの管理が必要です。シニアになっても健康な血管を保つために、日頃から血圧、血糖値、コレステロール値、尿酸値などを意識した生活を心がけ、数値の異常を確認した場合には薬物治療も考える必要があります。
リウマチ膠原病で治療中の方にとっても生活習慣病の管理はとても重要です。内臓や血管の障害をできるだけ抑えることで、リウマチ膠原病の治療がしやすくなるためです。リウマチ膠原病の治療と一緒に生活習慣病のコントロールもしていきますのでご相談ください。
高血圧について
日本高血圧学会ガイドラインでは、高血圧は130/85mmHg以上と定められています。ただし、血圧は自律神経によって調整されており、刻一刻と変化しています。起床時やストレスが強い時は上がり、夜にリラックスしている時などは低くなります。従って、一度血圧を測って基準値を超えていたとしても、一概に高血圧とは言えません。血圧が高い状態が継続し、血管に過度の負担がかかっていることが問題となります。病院で血圧を測ると高くなる方も多いですが、重要なのは自宅でリラックスしている状態での血圧の平均値ですので、まずは自宅血圧を毎日測るようにしてください。塩分過多や肥満、ストレス、喫煙は血圧が上がる原因となりますので、思い当たる場合は是正するよう心がけて下さい。
糖尿病について
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の調節がうまくいかず、高い血糖レベルが持続する状態を指します。この状態は、インスリンというホルモンが不足しているか、または効果が低下していることによって引き起こされます。インスリンは、血糖を細胞内に取り込むために必要な役割を果たし、血糖のレベルを適切に維持するために重要です。食べ過ぎによって高血糖状態が続くと、体の細胞がインスリンに対する抵抗性を持つようになります。つまりインスリンが十分に働かなくなり、血糖が適切に細胞に取り込まれなくなります。
慢性的な高血糖は、血管内皮細胞に損傷を与え、血管壁に炎症を引き起こす可能性があります。これにより、コレステロールやその他の脂質が血管内に蓄積し、動脈硬化の進行を促進します。動脈硬化によって血管の壁が厚く硬くなり、血液の流れが阻害されることで、心臓病や脳卒中、腎臓病、視力障害、神経障害、足の潰瘍のリスクを高めます。生活習慣の改善や適切な薬物治療によって、これらの合併症のリスクを最小限に抑えることができますので、糖尿病は放置せず、定期的な医療管理と健康的な生活習慣の維持を心がけましょう。
脂質異常症について
脂質異常とは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の値が慢性的に高い状態、もしくはHDL(善玉)コレステロールの値が低い状態が続くことです。LDLコレステロール値が140㎎/dl以上、HDLコレステロール値が40㎎/dl未満、中性脂肪が150㎎/dl以上(空腹時)のいずれかがあると脂質異常症と診断します。脂質異常があるだけでは特に自覚症状はありませんが、放置してしまうと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気を発症する原因となります。脂質異常症は不健康な食生活、肥満、運動不足、喫煙などの生活習慣要因と密接に関連していますので、日頃からバランスの取れた食事や運動習慣をつけることを心がけて下さい。女性の場合は閉経後に脂質異常症を生じることがあり、その場合はホルモン補充療法によって改善することがあります。